お名前: 東京都 世田谷区 山本クリニック 山本博昭(脳神経外科専門医) URL
低Na(ナトリウム)血症や「補液・輸液(点滴静脈注射のこと)療法」[2009年2月15日 16時33分17秒]
ペインクリニック・脳神経外科で評判の東京 都 世田谷 区 山本クリニック
脳神経外科専門医の山本博昭 先生
71歳父が肺癌で細胞癌:small cellcarcinomaで化学療法(抗癌剤治療)中。
肺炎と原因不明の意識障害と低Na(ナトリウム)血症
これはさぞかし御心配であろうと存じます。 御相談者の御気持ちが大変よく判る御相談です。 ++++++++++++++++++++++ 御相談者の御相談内容要旨御記載を熟読ささせて頂きました。 御相談者の御相談内容要旨御記載からは 「御父様」の「「意識障害」の原因は 「低Na(ナトリウム)血症」であり。 止むを得ずも「低Na(ナトリウム)血症」のNa(ナトリウム)値 の御記載がありません。 「低Na(ナトリウム)血症」の原因は 御相談者の御相談内容要旨御記載からは あきらかに 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」= 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」 によるものと今の私は考えます。 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」の原因探索 と 「低Na(ナトリウム)血症」の補正 により 「御父様」の「意識障害」は改善されていくはずです。 下記に順を追って御回答致します。 ++++++++++++++++++++++ #1 ##1 「山本先生 初めまして。 父(71歳)が現在、 意識が余りないことについて、相談致したく御願い致します。 2007年8月より、小細胞がんの治療を受けております。 今年1月6,7,8日と抗がん剤の治療をし、その翌週17日に容態急変し、 入院しました。 肺炎とのことで、その治療を行い、肺炎はほぼ治まりましたが、 意識がほとんどありません。 1月26日に、意識が更にはっきりしなくなり、主治医よりナトリウムの減少に よるものと言うことで、その治療を致しました。 その後、28日頃から、また少し反応が出て、栄養を点滴でのみ摂っていた所を、 2月3日より食事も始めるとのことで、回復を期待していました。 しかし、また意識が朦朧としている時間がほとんどになり、髄液の検査をしました。 髄液の検査の結果も以上はなく意識がはっきりしない原因がわからないようです。 家族としては、少しでも意識が戻ればと切に願うのですが、 どこへ相談したら良いかわからず、こちらへ相談した次第です。 何か治療方法はあるでしょうか。 よろしくお願いいたします。」 との事です。 #2 ##1 御相談者の御相談内容要旨御記載からは 「御父様」は肺の「小細胞癌:small cellcarcinoma」である。 ##2 今現在「意識障害」の状態である。 ##3 「1月26日に、意識が更にはっきりしなくなり、主治医よりナトリウムの減少に よるものと言うことで、その治療を致しました。 その後、28日頃から、また少し反応が出て、栄養を点滴でのみ摂っていた所を、 2月3日より食事も始めるとのことで、回復を期待していました。 しかし、また意識が朦朧としている時間がほとんどになり、髄液の検査をしました。 髄液の検査の結果も以上はなく意識がはっきりしない原因がわからないようです。」 との事です。 =>#3 #3 ##1 御相談者の御相談内容要旨御記載からは 止むを得ずも「低Na(ナトリウム)血症」のNa(ナトリウム)値 が御記載がありません。 ##2 「御父様」の「意識障害」の「病態」は 「低Na(ナトリウム)血症」を「症状・症候」とする ある「病態」が原因の 意識障害であり。 =>##3 ##3 この 「低Na(ナトリウム)血症」による「症状・症候」が いまだ解決されていない状況です。 ##4 そしてこの「ある「病態」」のことを 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 と呼称致します。 ##4 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」= 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 に関して#4 にて簡単にご説明致します。 #4 ##1 脳下垂体の「後葉:こうよう」から分泌される 「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」という ホルモンがあります。 ##2 この「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」とは 腎臓の「遠位尿細管」に作用して「捨てられる水分」を 再吸収するホルモンのことです。 ##3 この「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」 は「バソプレッシン:Vasopressin」とも 呼称されます。 ##4 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 の「inappropriate secretion of ADH:IA」は 「不適切な「ADH:抗利尿ホルモン」分泌」という意味 です。 ##5 「ADH:抗利尿ホルモン」の「ADH不適合分泌症候群;SIADH」 になると「水分」のみ腎臓から再吸収されて 「一種の自家水中毒」のような状態となり 「低Na(ナトリウム)血症」が発生致します。 ##6 「低Na(ナトリウム)血症」は「御高齢の患者さん」 では「意識障害」という「臨床神経診断学」とりわけ「臨床神経局在診断学」 の「症状・症候」として発現致します。 =>#5 #5 ##1 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」= 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 の患者さんの場合は「意識障害」が「症状・症候」としてでます。 ##2 「御高齢の患者さん」の場合。 「低Na(ナトリウム)血症」は 「130mEq(メック)*」を割ると「意識障害」 が発現致します。 (「mEq(メック)」とは「臨床神経診断学」での Na(ナトリウム)などの単位のことですが詳細は「省略」) ##3 「低Na(ナトリウム)血症」のNa(ナトリウム)がさがり 120mEq(メック)近くになると 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」の 「意識障害」は更に重篤化致します。 ##4 治療法としては 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」= 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」 の 「低Na(ナトリウム)血症」の「Na(ナトリウム)補正」 を行うのみです。 ##5 ##4に加えて 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」= 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」の原因を診断しなくては なりません。 =>#6 #6 ##1 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」= 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 の原因としては。 ##2 「御高齢の患者さん」の場合 1・肺炎などの呼吸器感染 2・「化学療法(抗癌剤治療)」とりわけ 「5-FU」などの 「ピリミジン合成阻害剤」=「ピリミジン・アナログ」=「核酸アナログ」 や 「CDDP:シスプラチン」などの「化学療法(抗癌剤治療)」 の投与。 3・そして「異所性「ADH:抗利尿ホルモン」分泌」の可能性 があります。 ##3 「異所性「ADH:抗利尿ホルモン」分泌」とは 脳下垂体「後葉:こうよう」以外で 「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」が分泌される 状態或は「病態」のことです。 ##4 ##3のなかで極めて有名なもの=「病態」は 肺癌であり。 =>##5 ##5 「肺癌:Lung Cancer:LC」の中でも とりわけ 「小細胞癌:small cellcarcinoma」が 「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」= 「バソプレッシン:Vasopressin」を勝手に分泌することで 有名です。 「「肺癌:Lung Cancer:LC」の中の 「小細胞癌:small cellcarcinoma」」の100例中5-10例。 #7 ##1 「意識がはっきりしない原因がわからないようです。 家族としては、少しでも意識が戻ればと切に願うのですが、 どこへ相談したら良いかわからず、こちらへ相談した次第です。」 ##2 「2007年8月より、小細胞がんの治療を受けております。 今年1月6,7,8日と抗がん剤の治療をし、その翌週17日に容態急変 ・略・ 肺炎とのことで、その治療を行い、肺炎はほぼ治まりましたが、 意識がほとんどありません。 1月26日に、意識が更にはっきりしなくなり、主治医よりナトリウムの減少に よるものと言うことで、その治療を致しました。」 との事です。 ##3 「御父様」は「化学療法(抗癌剤治療)」後に 肺炎をおこされています。 この状態の以前から 「低Na(ナトリウム)血症」は存在していたのではないでしょうか。 ##4 そして 「御父様」の「意識障害」の原因は「低Na(ナトリウム)血症」 であり。 「低Na(ナトリウム)血症」の原因は 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」= 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」 である。 =>#8 #8 ##1 「御父様」の 「低Na(ナトリウム)血症」の原因である 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」の原因に関しては。 ##2 肺炎などの呼吸気感染を引き金にはなってはいます。 ##3 けれども 「化学療法(抗癌剤治療)」として 「5-FU:フアイブ・エフ・ユー」などの 「ピリミジン合成阻害剤」=「ピリミジン・アナログ」=「核酸アナログ」 や 「CDDP:シスプラチン」などの「化学療法(抗癌剤治療)」 などの投与実績の「有無」は重要です。 ##4 そして何よりも 「御父様」の「肺癌:Lung Cancer:LC」が「小細胞癌:small cellcarcinoma」 であることから 「肺癌:Lung Cancer:LC」からの 「抗利尿ホルモン:ADH:antidiuretic hormon」= 「バソプレッシン:Vasopressin」の分泌されている可能性は 極めて高いです。 #9 ##1 「意識がはっきりしない原因がわからないようです。 家族としては、少しでも意識が戻ればと切に願うのですが、 どこへ相談したら良いかわからず、こちらへ相談した次第です。 何か治療方法はあるでしょうか。」 との事です。 =>##2 ##2 「御父様」の「意識障害」の原因である「低Na(ナトリウム)血症」 の原因である「ADH不適合分泌症候群;SIADH」の 原因をつきとめて。 「低Na(ナトリウム)血症」の補正がおこなわれれば 「御父様」の「意識障害」は回復されていくはずです。 #10結論: ##1 御相談者の御相談内容要旨御記載を熟読ささせて頂きました。 ##2 御相談者の御相談内容要旨御記載からは 「御父様」の「意識障害」の原因のおおもとは 「ADH不適合分泌症候群;SIADH」= 「SIADH:syndrome of inappropriate secretion of ADH : エス・アイ・エィデイーエッチ」 による「低Na(ナトリウム)血症」 であり。 ##3 この「診断戦略」と「治療戦略」がうまくいっていない 或は 「御家族」にはうまく伝わっていない のであると考えます。 ##4 「お受けもちの先生方」も一生懸命でいらっしゃることよく分かります。 ##4 「肺癌:Lung Cancer:LC」の 「小細胞癌:small cellcarcinoma」自体が とても難しい悪性新生物です。 ##5 この御回答が何がしかのお役に立てば何よりで御座います。 ##6 一刻も早く御相談者の「御父様」の 「症状・症候」が寛解される日の来られる事を・ 一刻も早いご回復を心より御祈り申し上げます。 上記あくまでもご参考にまでお留めおきご無事にされて下さいませ。 何卒にお大事にお健やかにされてくださいませ。
お名前: 匿名希望
山本先生 初めまして。 父(71歳)が現在、 意識が余りないことについて、相談致したく御願い致します。 2007年8月より、小細胞がんの治療を受けております。 今年1月6,7,8日と抗がん剤の治療をし、その翌週17日に容態急変し、 入院しました。 肺炎とのことで、その治療を行い、肺炎はほぼ治まりましたが、 意識がほとんどありません。 1月26日に、意識が更にはっきりしなくなり、主治医よりナトリウムの減少に よるものと言うことで、その治療を致しました。 その後、28日頃から、また少し反応が出て、栄養を点滴でのみ摂っていた所を、 2月3日より食事も始めるとのことで、回復を期待していました。 しかし、また意識が朦朧としている時間がほとんどになり、髄液の検査をしました。 髄液の検査の結果も以上はなく意識がはっきりしない原因がわからないようです。 家族としては、少しでも意識が戻ればと切に願うのですが、 どこへ相談したら良いかわからず、こちらへ相談した次第です。 何か治療方法はあるでしょうか。 よろしくお願いいたします。 Saturday, February 14, 2009 7:06 PM[2009年2月14日 19時06分27秒]